無釉のやきしめ(炻器)、灰釉陶器
倉敷市船穂町鶏尾地区
倉敷市船穂町といえば瀬戸内の穏やかな気候を生かした果物生産の地として、特産品の「マスカット・オブ・アレキサンドリア」、「スイートピー」などが有名ですが、その地の利を生かした地産地消のとてもユニークな焼き物が、倉敷市船穂町の鶏尾地区にあります。
地元を活かした鶏尾焼
備前焼窯元、南燦窯で修業した濵田伸一氏が、昭和61年(1986年)、この地のぶどうハウスやスイートピ-ハウスの丘に手造りで「半地下式穴窯」と工房を建立しました。その後、独自に試行錯誤しながら、地元船穂町の山土を主体として「半地下式穴窯」により約一週間じっくりと窯焚きし焼成され生まれたのが鶏尾焼「無釉のやきしめ(炻器)」です。
「鶏尾焼」は、船穂町の特産品「マスカット・オブ・アレキサンドリア」の古木(産業廃棄物として廃棄処分される老古木)を、窯焚きの燃料として使用し、その自然釉はとても優しい色に焼き上がります。 古木の再利用というとても地球に優しい焼き物で、同様に地元の特産品でもある「スイートピー」の摘花後の茎や葉の灰、ぶどう木灰を使用した灰釉陶器も新たに生み出しています。
陶芸家 濵田 伸一
濵田氏は、田部美術館大賞「茶の湯の造形展」、「朝日陶芸展」、備前ビエンナーレ「焼き締め陶展」などで多くの賞を受賞しているほか、倉敷陶友会展(会場 倉敷市立美術館)をはじめとして岡山、広島など各地で個展、展示会を開催し作品を発表しています。
濵田氏の温厚な人柄と、物作りへの熱い情熱は、鶏尾焼とともに、これからも倉敷の特産品として、後世に受け継がれ光り輝いていく事でしょう。
(2021.11更新)