由加山との深い結びつき
茶器などの伝統工芸品を入れる桐箱の装飾結び紐として使用されている紐、それを「真田紐(さなだひも)」と呼びます。
児島の真田紐は寛政初年(1789年)田之口村において、初めて製造されました。金毘羅と由加の両参りが流行した江戸時代には、由加の参道には商店が軒を連ね、これを買い求める旅客で賑わっていたようです。
現在、倉敷市児島にある琴浦(ことうら)地区では、2社が真田紐の製造を行っています。「昔はもっとたくさんこの地区に真田紐を製造している工場があったけれど、今ではうちと三福さんだけ。この伝統を絶やしてはいけないなと思っています。」、と語るのは、坂本織物有限会社の坂本早苗さん。彼女は、伝統織物の真田紐を使用して現代の暮らしに合った商品を生み出している、坂本織物有限会社の2代目です。
坂本織物有限会社は先代から続く、主に細幅織物を製造する会社です。細幅織物とは、手芸品やカバンの持ち手、シートベルトなどに使われる、文字通り、「細い幅の織物」のことで、現在では「ファッションテープ」とも呼ばれている織物です。
早苗さんも長年、この細幅織物に従事していましたが、平成23年(2011年)の9月頃、「何か新しいことがしたい」と思い始めた矢先に、真田紐と出会い、人と出会い、以前から地元で声が上がっていた『児島にはお土産が少ない』という現状を見て、SODAという児島のデザイン会社と一緒に、真田紐を使用した「携帯ストラップ」・「携帯ホルダー」の商品を開発しました。
現代の暮らしに合わせた商品開発
『なんとか今の人たちに、身近に真田紐を知ってもらえないか、使ってもらえないか』という熱い思いから生まれたこの商品は、当初、限定400本が地元のホテルやイベントなどで販売されました。周りの反応も良く、現在では倉敷の美観地区でもお土産として販売されています。
そして、現在では他にも真田紐を使った商品があります。「真田紐」(*3分×2m 380円)、(4分×2m 430円)は真田紐そのものを楽しめる商品で、ちょっとしたラッピングのリボンとしても使え、もちろん自分で縫製をする時にも使え、アイデアを考えるのが楽しくなります。シンプルな2本線、異なる柄、配色の違い、色なども従来の真田紐とは違い多彩なバリエーションも魅力的です。また、数本の真田紐を組み合わせて作られた ブレスレット(¥2400)は織柄の風合いを手軽にお楽しみいただける倉敷真田紐ならではの商品となっています。その他、倉敷屋と共同制作したデニム生地のポーチ(大¥2,150・小¥1,850)は、シンプルなデニム生地に、持ち手部分の真田紐が調和したプレゼントとしても喜ばれている一品です。
*1分=約3mm
(2020.12更新)