店頭には行列が
えびす商店街の一角、軒先にひっきりなしにお客さんが立ち寄り、時には行列ができるほどの人気を集めているえびす饅頭。小麦粉とたっぷりの卵でつくった生地の「がわ」は表面がカリッと焼き上げられ、甘さ控えめの自家製粒あんがたっぷり入った倉敷の名物饅頭です。シンプルながら食べ応えがあり、飽きのこない素朴な味わいは、子どもからお年寄りまで幅広い層に長きに渡って愛され続けています。
その発祥の時期は詳しくは分かりませんが、終戦後、阿智神社へと続く階段の下で商店街の買い物客や神社への参拝客向けに売られたのが始まりと言われています。甘いものが少なかった時代、あんこがたっぷりのえびす饅頭はさぞ、ご馳走だったことでしょう。その後現在に至るまで、地元の方たちをはじめ外国からの観光客の方にも親しまれています。
伝統の味を今も受け継ぐ
3代目として伝統の味を受け継ぐのは島村稔氏。入れ代わり立ち代わりお客さんが訪れる店内で、慣れた手つきで次々に饅頭を焼き上げます。先代から「味を変えてはいけない」と申し伝えられており、昔から同じ味、同じ製法で作られています。専用の鉄板に生地を流し、粒あんを入れた後で反対側の生地と合わせます。一つ一つ手仕事で表面をこんがりキツネ色に焼き上げ、手焼きのぬくもりを感じてもらえる自慢の饅頭です。
完成された味
「完成された味で、これ以上のものはない。冷めても美味しい。」と胸を張る島村氏。1個からでも気兼ねなく皆様に味わっていただきたいとのこと。今後もこの味は守り継がれていくことでしょう。
えびす饅頭は1個75円。9月末頃から5月の連休頃までの季節営業です。営業は朝10時~17時まで。休日は月曜日。祝日の場合、翌日です。
(2019.11更新)