全国に愛飲者が
「萬年雪」は、倉敷の老舗酒造会社である森田酒造で造られる清酒の冠称。本醸造、純米酒、吟醸、未搾り原酒など50ほどの種類があり、好みや容量に合わせて選ぶことができます。素材にこだわって手間暇をかけて造られる萬年雪にはファンが多く、何代にも渡って飲み続けている愛飲者が全国にいます。また瓶も普通の一升瓶だけなくとっくりやお洒落なガラス瓶も用意され、お土産品や贈答用として購入する人も。醸造元に隣接しているセレクトショップ「平翆軒」には多種多様な瓶が並び、訪れる人を悩ませます。
非効率な製法
森田酒造の創業は明治42年(1909年)。3代目である森田昭一郎氏自身「非効率」と語る昔ながらの製法でじっくり造られるお酒は、高梁川の水と足守、清音の近辺の農家で作られた米を原料とし(大吟醸を除く)、味のブレを防ぐためにブレンド率は昭一郎氏のみが決定します。また、在庫は2~3日分しか持たないのがポリシーで、これはお酒は生鮮品と考えているから。
歴史を感じさせる町屋造が並ぶ本町の醸造元では、米を蒸すことから瓶詰までの全ての工程が創業以来脈々と続いており、長年に渡り培われた経験と技術によってお酒が生み出されます。特に「フネ」と呼ばれる旧式の圧搾機はお酒に優しい搾りができる反面、特殊な技術が必要な機械で、これが森田酒造のこだわりともなっています。
直販がメイン
販売はエンドユーザー向けの直販が基本。流通にコストをかけるよりは品質に注力したいのが主な理由ですが、消費者からのダイレクトな反応を酒造りに生かせられるという利点もあります。
萬年雪は醸造元で直接購入できるほか、インターネットでの販売も行っています。倉敷は観光地なので、遠方からの観光客がリピーターとなって注文してくることもしばしば。そういった嬉しい声を励みに、今後も伝統の上に革新を積み上げながらのお酒造りが続きます。
(2021.11更新)