大正時代の面影
倉敷中心部の商店街から少し歩いた住宅地の中に、昔ながらのたたずまいを残したままの銭湯があります。大正中期の創業以来、同じ場所、同じ建物で営業を続け、今でも近隣の常連さんに愛されている戎湯。営業時間の午後4時になると、早速おなじみのお客さんがやって来ます。
のれんを潜って中に入ると、外観と同じく内装もほとんど当時のままで、木づくりの下駄箱やロッカーは、今ではほとんど見ることのできない貴重なものとなっています。また、浴室の床と浴槽は御影石を使用していて、これも当時のまま。
これらが醸し出すレトロな雰囲気に魅せられた方々が、インターネットでの情報を頼りに遠方からやって来ることもしばしばで、時にはアメリカやイギリスなど海外からのお客さんが訪れることもあるそうです。
愛してくれる人たちのために
その戎湯を取り仕切るのが、「手伝って欲しい」という先代の声で嫁ぎ先の京都から戻って来た現在のおかみさん。最初は数年だけのつもりだったのが、いつの間にか25年も経ってしまったと笑います。今でも倉敷と京都を往復する日々に加え、近年の石油料金の高騰で決して楽ではないそうですが、戎湯を愛してくれるお客さんのことを思うとやめるわけにはいかないとか。
絆
時代の変化で少なくなりつつある昔ながらの銭湯。それでも戎湯には、今も昔も変わらない、お客さんとおかみさんとの絆がしっかりと息づいています。
近隣に数台分の駐車場があり、営業時間は16時~21時まで。定休日は水曜日です。
(2022.2更新)