創業以来、魚一筋
明治31年(1898年)、光畑治衛門によって創業された魚春。当初は酒や煙草も扱いながら仕出し業を営んでいました。今と違って魚は高級品で、行事の際に周辺の御大家の家に行って魚を調理し提供することが多かったそうです。その後昭和に入り、魚が一般的になるにつれて魚屋としての仕事が忙しくなります。昭和30年代から40年代にかけては仕入れた先からどんどん売れて、店先にはイワシやサンマのトロ箱がうず高く積みあがるほどでした。最初の店舗は今の場所から1キロほど離れた場所にあり、その後生協の中にテナントとして入居。そして平成12年(2000年)に生協の跡地に現在の店舗を設けています。
近隣から市内一円まで
今日でも魚を中心とした営業に変わりはありませんが、地域のコンビニ的な機能としてその他の食品も扱っています。店内には鮮魚だけでなくお弁当や総菜が並び、果物や野菜、肉類も販売されています。大型スーパーが増え周囲に昔ながらの商店が少なくなった今、近隣の高齢者の方などに便利に使ってもらえるようにとの配慮です。また、魚を中心に新鮮な素材を使ったお弁当など仕出しの配達も市内一円に行っているほか、隣接するJA早島支店の朝市でも魚を販売しています。
食は一期一会
亡くなった現店主の夫、克己氏の言葉によると「食というのは一期一会」。美味しいという記憶はいつまでも残るものなので、常に良いものを提供することが重要だとか。長年に渡って魚に関する知識や経験を蓄えてきたことがここで生きてきます。同時に、地域密着型店舗として近隣住民がホッとできる空間づくりにも気を配っています。顔なじみのお客さんは好みも分かっているため、それに合わせた商品をそろえたりするなど関係を大切にしながら上手にニーズに対応してきました。
今後も「脳裏に残る美味しさ」を常に目指しながら、より商品の充実をはかっていくことが課題。「自分で食べたいと思うもの」をこれまで以上に積極的に提案していく予定です。