天皇訪問に向けて架け替えられた石橋
江戸時代からの風情を残す倉敷美観地区には、川幅10mほどの倉敷川が流れており、この川の最も川上に架かっている橋が今橋です。今橋は大原美術館と旧大原邸とを結ぶように架かっており、大正15年(1926年)に、皇太子であった昭和天皇がこの地を訪問するのに合わせて、架設後100年を超えていた当時の今橋の架け替え工事が行われることになりました。架け替えは大原美術館の創設者である大原孫三郎氏によってなされましたが、天皇の訪問が間近に控えての施工であったため、わずか40日間の工期で行われたと言われています。
地元の偉人への敬意を表したデザイン
橋のデザインは大原氏と親交の深い児島虎次郎氏が担当しました。鉄筋コンクリートの橋を花崗岩(かこうがん)で覆った橋の欄干は、両裾がゆったりと広がり、重厚感がありながらも柔らかな印象となっています。橋げたにも工夫が施されており、半円状に設計されていることで、水面に映る半円の影と併せて満月を眺めることができます。
また、めでたさの象徴であり、かつ大原孫三郎氏の干支にちなんで20体の竜が欄干の通路面には線彫りで、外面には浮き彫りで彫られています。児島氏による緻密かつ生き生きとした竜の彫りは一見の価値があります。また、石柱の頂部には、天皇への敬意を込めて皇室の紋章である菊があしらわれています。
毎年300万人を上回る観光客が訪れる倉敷美観地区。今橋では倉敷川をバックに写真撮影で多くの方が立ち止まられますが、この橋の歴史や魅どころに触れてみるのもいいかもしれません。
生活に密着した民芸品に触れる場所
生活の中で使われる国内外の様々な民芸品を所蔵し、展示。 観光客にとどまらず地元のファンも多く、...