「玉島の名物」として発信
しのうどんの由来は、歴史的資料には残されておらず、定かではありませんが、円通寺で修行僧が音を立てて食べても良かったうどんと言われ、倉敷市玉島にある円通寺ゆかりのものであると伝わっております。円通寺の良寛和尚を慕って、昔から円通寺では、うどんやそばがお接待として訪れる人々に振る舞われていたそうです。「一筋一椀」と言われ、お椀の中に一本のうどんが、円を描くように盛り付けされており「心まーるくまーるく」唱えながら感謝の心で美味しいうどんを頂いていたそうです。
そんな玉島の人々に馴染みの深いしのうどんを、「玉島の誇るべき名物土産として後世へ伝えて行きたい」との想いで、今から10年以上も前、平成14年(2002年)に地元の女性グループが主体となって「玉島おかみさん会」を発足。同年、玉島で開催された玉島物産展へ出品すると、玉島の地域の人々はもちろん、県外からの観光客からも大きな反響がありました。
「食」を通じて地域の活性化
当初しのうどんは、玉島のお土産品として発売されており、材料には、水、塩、小麦粉を使用。全国発送を視野に入れ、油を一切使わず、日持ちが良く麺の食感が生に近い半生麺タイプを採用しています。また、地元でもしのうどんを食べることが出来るお店をという事で、最初は1軒からスタートして、現在では、玉島地区の多くのお店でしのうどんを食べる事が出来る様になりました。またA級グルメとして、マスコミやテレビで度々紹介されるようになり、地域の活性化にも繋がっています。
しのうどんの最大の特徴は、麺の太さと長さ(茹でた後、幅2.0cm×長さ1.5m)ですが、麺にこしがありしっかりとしていてとても食べごたえがあります。さらにもう一つの特徴は、お店によって出汁がそれぞれに違うという点です。基本的にしのうどんの定義は、極太麺の使用以外には特に取り決めはないそうです。というのも其々にお店独自の味を追求して、より良い味を提供して行くためにあえてお店独自にお任せしているそうです。
お店独自の多彩な味わいを堪能
平成24年(2012年)に玉島市民交流センターにオープンした「人の駅カフェWAON」(玉島おかみさん会運営)では、月に3回(水曜日)日替わりメニューとして、かつおだしの利いたお醤油ベースのしのうどんが提供されています。同じく玉島にある「うどんの蔵」では、鳥ベースの出し汁しのうどん、カレーとの相性が抜群のカレーしのうどん、同じく「キャロット亭」の具たくさんの鍋焼きしのうどん、「武蔵の国」のホルモン焼きしのうどんなど、お店独自のアレンジで、それぞれに様々な味を提供しています。(詳しくは、ホームページにて「玉島しのうどんMAP」を参照にして下さい。)
また、お土産用としても根強い人気を誇り、岡山県内の各お店で購入できるほか、インターネットによるお取り寄せも出来ます。冬にはご家庭でお鍋に入れたり、温かいかけうどんやパスタ風(ペペロンチーノ、カルボナーラ等)にアレンジ、夏には、冷製パスタにと、様々な自分好みの味を楽しむ事が出来ます。是非とも一度、玉島名物「良寛ゆかりのしのうどん」の味をご堪能ください。