著名な陶芸家の指導も受ける
酒津焼は現存する倉敷最古の焼物で、その歴史は古く、明治2年(1869年)にまでさかのぼります。当初は鶴形山の麓に窯がありましたが、明治9年(1876年)に酒津の高梁川西岸に移転。その後さらに東岸に移転し、今に至ります。
その変遷の中にあって、近藤悠三、浜田庄司、河井寛次郎、富本憲吉、それにバーナード・リーチといった著名な陶芸家の指導を受けたことも、酒津焼に大きな影響を与えました。
生活の中で使われることを
現在は父子相伝にて、6代目の岡本研作氏と弟和明氏の兄弟2人の手で産み出されている酒津焼。そもそも初代の岡本末吉が陶芸を志したきっかけは、愛好していた茶道の道具を作りたいとの思いから。したがって、その基本は生活の中で実際に使われることを前提としたものです。
酒津で採れる、良質で粘りのある土を使ってやや肉厚に作り、登り窯で40時間に渡って焼き上げます。独自調合の釉薬も厚めにかけられていて、これにより、丈夫でありながら、同時に色合いに深みがあるのが特徴。種類としては茶器、花器、食卓用品が主で、生活の中で長い間の実用に耐え、さらに生活に潤いと心に和みを与えることを目指して作られています。
年間千点ほどの作品
「イメージ通りのものが焼き上がった時が一番の喜び」と語る研作氏。陶芸の敷居が低くなってきている現在、プロの職人らしくさらに良いものを作る必要があると日々努力を続けます。
酒津貯水池近くの静かなロケーション、水門のすぐそばにある窯元では年間に大小1,000点ほどの作品が作られ、併設された展示場には数多くの作品が並びます。訪れるお客さんは40代以上の常連さんが中心ですが、10年ほど前から開いている陶芸教室には幅広い年齢層の方が通い、一日陶芸体験には若い観光客が大勢参加しています。
(2019.11更新)
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