問屋業を中心として創業
歴史的建築物が並ぶ本町通りに店を構える白神商店。観光客や地元の常連さんがひっきりなしに立ち寄る荒物屋で、築200年ほどだと言われる店舗にはかつての看板なども飾られ、歴史をしのばせています。
創業は明治27年(1894年)で、初代白神理吉氏が「理吉商店(りきちしょうてん)」の屋号で家庭雑貨の問屋と小売りの店として開いたのが始まりでした。当時は問屋業を中心としていて、荷積み用自転車に商品を山積みして市内を走り回っていたそうです。その後、昭和の初め頃に現在の場所に移転し、昭和30年(1955年)には株式会社として法人化。商品の運搬手段も、自転車からオートバイ、オート三輪、トラックと時代とともに移り変わってきました。
小売りにも重点を
小売りが増えたのは近年のことです。平成17年(2005年)に店舗を大きく改装してお客さんが出入りしやすいようにし、商品の品ぞろえや陳列方法も変えました。その理由は、店の前の道が整備されて観光客の行き来が増えたから。現在では小売りと卸売の比率は半分半分となっています。
店に並ぶ商品は、自然素材を使った日用雑貨が中心。特に観光客向けには竹やい草を使った素材の温かみを感じさせるものが人気があります。また、座敷ほうきなどの最近は売っている所が少ない日用品を地元の人が探しに訪れることもしばしば。買い物ついでに雑談をしていく常連さんの姿も多く見られます。
新しい業態にチャレンジ
今後の課題は「小売りをより充実させていくこと」と4代目の白神隆志氏は感じています。長い間、問屋業を中心に商いを続けてきたため、まだまだ小売店としての経験とノウハウが足りないとか。人の流れが増えた今だからこそ、これまで培った仕入れルートを生かしつつ新しい業態にチャレンジしていくことを目標としています。