不死(健康長寿)と不二(和合)を願う阿知の藤
倉敷美観地区の北で、山頂には旧倉敷総鎮守の宮とされる阿智神社が鎮座する鶴形山の山頂近くに「阿知の藤」があります。阿知の藤は曙藤(あけぼのふじ)という珍種で、開花当初は淡紅色の花が咲きますが、次第に白色に変わるという特色があります。時季には藤棚に花が咲き誇り、見応えがあります。
同種の藤としては日本一の巨樹で、幹周り1.5m、根元の周囲は2.2mもあり、昭和31年に岡山県の天然記念物に指定されています。また、藤には年輪がないため、はっきりとした樹齢はわかりませんが、調査によると300~500年と言われています。一時は枯死寸前にまで陥ったことがありましたが、地元住民の働きかけで治療を施し、樹勢が回復しました。
毎年見頃になる5月上旬には、「藤見の会」が開催されます。期間中は雅楽の演奏やお茶席のほか、さまざまなイベントが用意され、たくさんの人で賑わいます。
藤は不死(健康長寿)と不二(和合)を願って植えられたのではないかという説もあることから、阿智神社では「阿知の藤実守」というお守りを用意しています。このお守りには阿知の藤の実が入っており、可憐な曙藤があしらわれています。幸福のお守りとしてのご加護があるそうです。
(2020.11更新)
美観地区の倉敷川をまたぐ架け橋
倉敷美観地区の中間に位置する架け橋「兜山」「酒津富士」と呼ばれる山
倉敷市酒津地区にある美しい山。「酒津富士」や「兜山」とも呼ばれています。